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7月例会

のぐち

2024/06/29 (Sat) 11:17:25

7月に例会をおこないたいと思います。
7月21日を予定しています。
詳しくは、後ほどお知らせします。

Re: 7月例会

のぐち

2024/07/22 (Mon) 08:29:34

例会は、延期になりました

Pocoさんの作品です

きた・とこ

2024/06/26 (Wed) 16:40:28

  アンダーライン
               ごとうちかこ


あるひとつのできごとが
なにげない月曜日をこわした
記憶から削られてしまわないように
アンダーラインを 打ち込んだ

次のふとしたできごとが
なにげない火曜日を傷つけた

また次の できごとが
弱気になった水曜日を踏んづけた

アンダーラインは3本になった

わからなくて くやしくて
木曜日 あるひとにメールを送った
金曜日になって届いた返事が 
こちらの思いとつながって
アンダーラインは5本になった

土曜日は別のどこかにつながった
日曜日も また次の日も
共鳴しながら
先をめざして伸びていく

負けないで あきらめないで
伝えていけば いつの間にか
アンダーラインはひとつになって
思いがけないところまで
たどりついていく





   
スペースキー□
               ごとうちかこ


白い画面の□そこには
文字もなく記号もなくて
空っぽだ

ひとつ打てば□ひとつ分
ふたつ打てば□□ふたつ分の
白いすき間ができている

読点のように ひと息ついて、
句点のように ひと休み。

前に並ぶものたちと
後ろに続くものたちを
区切ってつなげる連結器

ふと 外を見る
一両目 二両目 三両目・・・
ローカル線の 電車の窓が 
町を映して過ぎていく

画面のなかにも 電車が走る

ちいさな言葉のかたまりが
ひとつ ふたつとつながって
所どころで
カーブを描いて 進んでいく

終点はまだ 見えていない

Re: Pocoさんの作品です

のぐち

2024/06/29 (Sat) 11:11:21

キーボードシリーズですか?
とてもいいと思いました。
共感できて、面白い!
目のつけどころが、素敵ですね

きたとこさん

のぐち

2024/06/22 (Sat) 20:35:31

okです
私はメールでもいいですよ

作品ありがとうございます

きた・とこ

2024/06/21 (Fri) 10:22:43

私のは長いので貼り付けるのは無理と思います。
プリントして送ります。
まだ手直し中です。できるかな。

掲載希望作品

のぐち

2024/06/20 (Thu) 12:12:58

 
貼り付けました
読みにくいかもしれませんが、よろしくお願いします


きさらさんと船長さん


「ただいま」
 きさらさんがドアを開きました。
「おかえりなさい」
 ねこのミューミューが、きさらさんの足にスリスリしながらいいました。
「おかえりなさい」
「おかえりなさい」
 ぬいぐるみのクマ子さんもレオンもよってきました。
「あ、とってもいいにおいがします。なんのにおいですか?」
 ミューミューがはなをクンクンさせました。
「フフフフ、お友だちとランチを楽しんできたのよ。お魚のポアレをいただいたのよ。おいしかったわ」
 テーブルの上にバッグを置きながらいいました。
「いいなぁ、お土産は無いんですか?」
「あるわよ」
 きさらさんはバッグを開けてクッキーの袋を取り出しました。
「えーっ、甘いものですか? ミューミューは食べられないわね」
 クマ子さんが言いました。
「うん、私もそう思ったの。でもね、これはねこのために作ったクッキーだとそこのシェフがおっしゃるのよ」
「ねこのレストランですか?」
 ミューミューがききました。
「ちがうわよ。ちゃんと人間のレストランだったわ」
「へぇー、それなのにねこのクッキーを作っているの。変なの」
「そうなのよね。お料理はおいしかったけど、ちょつと変わったレストランだったわ。ネットで探したお店なの。車のナビでは着いているはずなんだけど、普通の家があるだけでレストランらしい建物がなかったの。友だちが、ここじゃないのと言った家の周りには草がぼうぼう生えていて、空家みたいだった。門柱の上には、ガーゴイルの置物があってなんだか気持ちがわるかったわ」
「ガーゴイルって何ですか?」
「西洋の怪物よ。でもその家をよく見ると『bateau』っていうお店の看板が出ていたの」
「普通のレストランだったんですね。それで、このクッキーはどうしたんですか?」
「まあ、待って。順番に話すわね。レストランの中に入ったら、窓辺に真っ黒のねこがいたの。私たちをじっとみていたわ。そしたら、友だちがミューミューに似ているっていいだしてね、盛り上がっちゃった」
「どこがぼくに似ているんですか?」
「いまにもしゃべりだしそうなところとか、ねこばなれしている雰囲気とかってね。みんなで大笑いしちゃった」
「うわさ話でぼくを笑うなんて、失礼ですね」
 ミューミューが顔をしかめました。
「ねこのクッキーは、どうなったんですか?」
 クマ子さんが聞きました。
「そうそう、食事が終わって、お金を払いに行ったら、コックコートを着た真っ白なおひげのシェフがいらっしゃってね、ねこを飼っておられるようなので、ねこが食べられるクッキーを作りましたってこれをくださったの。食事の前に私たちがミューミューの話をしていたのを聞いていらっしゃったみたい」
「じゃ、これはぼくのものですよね。早く食べさせてください」
「はい、どうぞ」
 きさらさんは、袋を開けてミューミューの前にクッキーを置きました。
 ミューミューは、はなを近づけてクンクンしていましたが、パクッと食べました。
「おいしい!」
 ミューミューの顔がキラッとかがやきました。
「そんなにおいしい? ちょっと私も食べていいかしら?」
「どうぞ。少しだけですよ」
 きさらさんもパクッと口に入れました。
「おいしい!」
 甘くはないのですが、口の中に優しい香りが広がりトロッととろけました。なんとも言えないなつかしい感じとシェフの人がらが感じられるようでした。
「私にも食べさせてください」
「ぼくにも、ぼくにも」
「はい、どうぞ」
 きさらさんは、クマ子さんとレオンの前にもクッキーを置きました。
「おいしいわ!」
「おいしいね!」
 クマ子さんとレオンは、顔を見合わせてにっこり笑いました。

 夜、きさらさんは目を覚ましました。
 なんとそこは、昼にランチを食べたレストランでした。門柱にいるガーゴイルがきさらさんをにらんでいます。レストランのドアの上には『bateau』という看板もありました。
「ああ夢なのね」
 きさらさんはつぶやきました。
「それにしても、夢の中でもさっき着替えたパジャマのままって変ね」
 きさらさんはクリーム色のパジャマのそでを自分見て思いました。
「きさらさん、どうしてぼくの夢の中に入っくるんでか?」
 足もとを見るとミューミューがきさらさんを見上げていました。横にはクマ子さんもレオンもいました。
「どうしてって……、ミューミューたちが私の夢の中に侵入してきてるんじゃないの?」
「ちがいますよ。きさらさんが……」
 ミューミューがそう言いかえしたとき「いらっしゃいませ」といってレストランのドアを開け、人間の大きさの黒ねこが出てきました。二本足で立ち、首にはキラキラ光るペンダントを下げていました。
「あら、あなたは昼間のあの黒ねこね?」
「そうですよ。しかし、私どもが招待したのは、そちらのミューミュー殿だけだが、大勢でおいでくださったのですね」
「ミューミューを招待してくださったの?」
「そうです。しかし、こんなに大勢とは……、船長にみなさまをご案内してもいいかどうかうかがってまいりますので、ここで少しお待ちくだたい」
 黒ねこはそういってうやうやしく頭をさげると、お店の中に引っ込んでしまいました。
 少しするとドアが開いて、黒ねこが「船長のお許しがいただけました。みなさん、どうぞお入りください」と手を広げました。
 きさらさんたちがお店に入ると、テーブルの横に背の高い青年が立っていました。青年は、長い黒髪で、金色の肩章がついた青いロングコートを着ていました。まるで絵本から抜け出してきたような人だと、きさらさんは思いました。
 クマ子さんは、うっとりとした顔で青年を見つめています。
「こちらが、船長です」
 黒ねこがいいました。
「よくいらっしゃいました。どうぞお座りください」
 船長は、顔にかかった長い前髪をそっと小指で振り払い、にっこりほほえみました。
 みんなは、部屋の真ん中の一番大きなテーブルをかこみ、それぞれのイスにこしかけました。
 船長は、何かをたのむように黒ねこにうなずきました。黒ねこは、分かりましたというようにキッチンの方へ下がって行きました。
「船長さんですか? シェフではなくて?」
 きさらさんが聞きました。
「はい。船長です。昼間は、シェフですが本当の姿は船長なんです」
「昼間の白髪のシェフは、あなた?」
「はい、私の仮の姿です」
 きさらさんの頭が混乱してきました。でも、よく見ると昼間のシェフと船長の目が同じだと思いました。
「仮の姿ねぇ?」
「申し訳ありません。混乱させてしまったようですね。実は私はファンタジー世界の住人なんです」
 船長が答えました。
「え?」
 きさらさんは頭がもっと混乱してきそうなので「これはやっぱり夢なんだ。だから何がおきてもだいじょうぶ、だいじょうぶ」と自分に言い聞かせました。
「ファンタジー世界ねぇ……」
「はい、私の住んでいた世界では、私は船長をしていました。みんなを船でいろんなところに連れていく役目をおおせつかっていました」
「まぁ、ステキ! でも、今はシェフなんですか?」
 クマ子さんの目がキラキラかがやいています。
「そうです。今はシェフをしています。みんなをいろんな世界に案内することができなくなり、その代わりみんなにおいしいものを作って食べていただこうと思ったのです」
「どうして、船長さんができなくなったのですか?」
 きさらさんが聞きました。
「それが……」
 船長は目を伏せました。
「実は、私はファンタジー世界から追放されてしまったのです」
 レオンが小さい声で「追放って何ですか?」とクマ子さんにききました。
「帰ってきてはいけませんって言われることよ」
 クマ子さんも小さな声で答えました。
「追放? どうしてですか?」
 きさらさんが船長に聞きました。
「私は、ルールを破ってしまったのです」
「ルール?」
「はい。少し長くなりますが、聞いていただけますか」
「もちろん、お聞きしたいです」
「私たちの世界と人間世界とは少し前までは、自由に行き来していました。けれどどういうわけか、数百年前から訳の分からない変化が私たちの世界にあらわれるようになったのです。人間世界の人たちが私たちの世界にこられ、また人間世界に帰られた後に、くらい穴があいてしまうという変なことがおこるようになりました。私があちらにいた時も、確かに暗い穴が所々にあき、増えているようでした。このままでは、私たちの世界かこわれてしまうんじゃないかと、心配する声が大きくなってきました。この現象は、人間界との交流にあるのじゃないかということをいう研究者も現れました。そこで、お互いの世界を行き来することを禁止したのです」
「まぁ……、あなたの世界で、異変がおきているということですね。それが、人間世界と交流することで起きているとみなさんが考えていらっしゃるんですね」
「はい。でも、私は、そういうようには考えられ無かった。私は、人間世界が好きでした。だからファンタジー世界のルールをやぶってたびたびこちらに来ていました。そんなに悪いことだと、私は思わなかったのです。私がこちらに来て、こちらの世界に穴が空いたなんて聞いたことが無かったので、ルールを気にする事はありませんでした。でも、それがよくなかったのです。ルールを破った私はファンタジー世界の人々からファンタジー世界を壊す無法者だとを怒らせ、罰として追放だと言われました」
「そんな無慈悲なこと!」
 クマ子さんが悲しそうにまゆをひそめました。
「はい。あの黒ねこだけがどうしても私について来るというので、そっと私についてきたのです」
 船長は、寂しそうに首を垂れました。
「そんなのおかしいよ。だまって帰っちゃったらいいんだよ」
 ミューミューがいいました。
「それができればいいのですが、そんなことができないように、表のガーゴイルたちが私を見張っているんです」
 きさらさんは、まどの外を見ました。まどの外のガーゴイルたちは、部屋の中をうかがうように赤く光る目でこちらをにらみつけていました。
「どうしても帰れないの?」
 クマ子さんが船長に近寄り、そっと手を取って聞きました。
「はい。帰る事は許されません」
「そんな、ひどすぎるわ。一度ルールをやぶったからといって、二度と帰ることができないなんてひどすぎます。あなたにもご両親やお友だちがいっぱいいらっしゃるでしょうに。本当に、許されないの?」
 クマ子さんが船長の顔をのぞきこんで聞きました。
「私の世界の穴がどうしてできるのかが分かり、人間世界との交流が原因ではないとわかれば、私の罪も許され、帰ることもできるかもしれませんが……。それはとても難しい事のようです」
「いいじゃないか。船長は人間世界が好きなんだから、ここで楽しくやればいい」
 ミューミューがテーブルの上に飛び乗って、その場の沈んだ空気を変えるようにいいました。
 レオンもうんうんとうなづいています。
「はい、私もそう思いました。私は、料理が好きです。好きな料理を人間にふるまって、うれしそうな顔を見られれば、こんなに楽しいことはないと思う事にしました。だから、このようなレストランを開いたのです。レストランなら私が出ていかなくってもお客様が外から来てくださる。今では、本当に楽しくくらしています。私は本来船長ですので、できれば人間世界の国々を船で回って、いろんな国のいろんな人々においしいものを作ってよろこんでもらいたいと思っています」
 船長は、にっこり笑いました。
「それで」
 きさらさんはずっと気になっていた事を聞きました。
「ミューミューを招待してくださったとおっしゃいましたが、それはどういう事ですか?」
「ああ、そうでした。それをおつたえしなければいけませんね。お昼にいらっしゃった時、ミューミューさんの事を話しておられましたよね」
「ええ、たしかにミューミューの事を話していましたわ」
「私どもの黒ねこを見て似ていると思われたのですよね。それなら、もしかしたら私たちと同じ境遇の方じゃないかと、ふと思ったのです。不思議なねこだと私には聞こえました。きっと私どもの黒ねこのように人の言葉を話せるんじゃないかと思いました」
「たしかに、なぜか昼間窓のそばで眠っていた黒ねこさんに似ていると、私たちみんなが思いました」
「もし、ファンタジー世界の住人で、なんらかの理由で追放されているんじゃないかと思ったら、いてもたってもいられなくなりました。私と同じ境遇なら、仲間がいるという事をお伝えしたかったのです。ひとりぼっちでは、寂しすぎると思ったのです。クッキーをおわたししたのは、あれを食べるとこちらに来ていただけるようにと作ったものです。みなさんが食べられるとは思っても見なかったもので、すこし驚きましたが」
「すみません。みんな食いしん坊なもので……」
「いえいえ、みなさんとお話しできて、私はうれしいです」
 船長は、ゆったりとした笑顔を見せました。
「船長、残念ながらぼくはファンタジー世界の住人ではありません。さびしくもありません。だって、ぼくにはきさらさんやレオンやクマ子さんがいるから」
「そうでしたか。もし君がよかったら、ぼくの船に乗っていっしょに世界中旅するのもいいかなぁと思っていたんですけどね」
「世界中を旅するのかぁ、いいなぁ……」
 ミューミューの目がキラリと輝きました。
「え、ミューミュー、旅にでたいの。私の家を出ていきたいの?」
 きさらさんがおどろいたように聞きました。
「ちがいますよ。旅はいいけど、ぼくはきさらさんの家から出たいなんて思っていませんよ」
「まぁまぁ、落ち着いてください。私は、争いを起こそうとしてこんな提案をしょうとした訳ではありません。もしかしたら……、もしかしたら、ミューミューさんが私たちと同じ世界の住人だったらと思っただけですから」
 船長の声は、少し残念そうでした。
 クマ子さんが船長の顔をじっと見つめています。クマ子さんには、家族や友だちから切り離された船長のさびしさがわかるようでした。
「ぼくは、船長の住むファンタジー世界から来たねこではないんです。ぼくは、宇宙から来た宇宙ねこなんです」
「え?」
 きさらさんはおどろいて、目を大きく見開き口をあんぐりとあけたまま動けなくなってしまいました。ミューミューが不思議なねこだとは思っていましたが、宇宙ねこだなんて聞いたことがなかったからです。
 クマ子さんもレオンもおどろいた顔をして、きさらさんとミューミューを代わる代わる見ています。
「ああ、そうだったんでね。私たちとは違う世界から来たということですね。それで、お仲間もいっぱいいらっしゃるのですか?」
 船長がミューミューにききました。
「うーん。宇宙ねこは探せばいっぱいいるんじゃないかな。ぼくは探したことないけど」
「それで、さびしくはないのですか?」
「うん。ぼくはきさらさんにあったからさびしいなんて思ったことないよ」
「きさらさんがいなくなったら、宇宙にある君の世界にいつでも自由に帰ることができるからですね」
「そういうことかな」
 ミューミューは、胸をはりました。
「何、言ってんの。きさらさんがいなくなったらってどういうこと!」
 レオンが急にテーブルにとびのり叫びました。
「落ち着いて、レオン。私は、いなくなったりしないわよ」
 きさらさんはレオンをだいてひざの上にのせました。
「だよね。だよね。そんなことをいうこの人は、嫌いだ。大嫌いだ」
 レオンはきさらさんのひざにうっつぷして泣きだしました。
 きさらさんは、ふと、もし私がいなくなったらミューミューやクマ子さんやレオンはどうなるんだろと思いました。私がいなくなったら……。レオンも、心のどこかでそういうことが、あるかも知れないと思い、急に悲しくなったのかもしれません。クマ子さんがきさらさんを見つめています。きさらさんの気持ちがわかったというように。
 ダメダメ、ときさらさんは頭をふりました。今はそんな事を考える時じゃないわ。
「心配しなくてもいいのよ。私はいなくなったりしないから」
 きさらさんは、レオンの頭をやさしくなでました。
 ミューミューは、不思議そうな目できさらさんをじっとみつめています。
「いなくなったりしませんよ。そんなことあるはずがないじゃない」
 きさらさんはもう一度いいました。
「ああ、申し訳ない。変なことをいってしまいました。みなさんの心を傷つける気はなかったのです。ミューミューさんがいつでも自由に帰って行けることがうらやましいと思っただけです」
 船長はくちびるをかんで、しずかにうつむきました。
 クマ子さんがそっと船長のひざの上にのり、手をのばしほほに軽くふれました。
 すると、船長はさっと顔をあげ明るくわらい、クマ子さんを抱き上げもとのイスに座らせました。
「申し訳ない」船長はもう一度いい「私のつまらない思い込みでみなさんを招待してしまいました。では、お茶会にいたしましょう。お茶を召し上がってください」と続けました。
 船長はふわりとふりかえり、キッチンにいるはずの黒ねこにいいました。
「お茶をみなさんにお出ししておくれ」
「かしこまりました」
 キッチンの方から声が聞こえました。しばらくして、金色で縁取られたティカップを乗せたトレイを持った黒ねこがあらわれました。
「どうぞ」
 それぞれの前にお茶が配られました。
 カップから白い湯気が上り、金木犀のようなとてもいい香りがします。
 船長は、みんなに飲むことをうながすように手を広げました。
 きさらさんは香りにさそわれ、カップに口をつけました。すると自然に少し甘いお茶が口の中に流れこんできます。心がやすらぎまぶたが落ちてきました。

 きさらさんが気がついたのは、クマ屋のお店の中でした。四にんは、丸いテーブルをかこんで座っていました。
「あら、やっぱりさっきの船長さんは、夢だったのかしら?」
 きさらさんは辺りを見まわしました。
「ぼくも船長の夢を見ました」
「私の夢の中にもきれいな船長さんがいらっしゃったわ」
「ぼくもいやなことをいう船長を見たよ」
「みんないっしょの夢なんて、不思議ね」
 きさらさんは、頭をコテンとかたむけました。
「ちょっと待って」
 きさらさんはスマホを持って来てレストランの写真をさがしました。
「あら、ガーゴイルがいないわ。それに昼間より雑草が多くなってるような気がする。あ、看板が傾いておちかかってるわ。なんだか何年も前から空き家だったみたいに見える。やっぱり夢だったのかしら」
「夢かなぁ」
 ミューミューが納得できないというように顔をしかめました。
「あ、見てください。あれは夢じゃありませんよ。ほら、これは私が船長さんの涙をぬぐってあげたあとだわ」
 そう言って、クマ子さんは手のひらをきさらさんに見せました。
 そこには、ぽつんと一つ涙の後が残っていました。
「きっと船長は、帆を上げ船出したんだよ。新しい町に新しい友だちを探しに行ったんだよ」
 ミューミューが言いました。
「そうね。あの船長さんなら、きっといっぱいお友だちをつくれるわね」
 きさらさんがいうと、みんなは同じように笑顔でうんうんとうなずきました。

無題

のぐち

2024/03/10 (Sun) 18:14:40

締め切り、6月末でいいと思います。

次号締め切り

きた・とこ

2024/02/28 (Wed) 14:24:30

例年通り六月末でいいでしょうか?
ご準備をお願いします。
前号、掲載費をまだお支払いされてない方は、そろそろお願いいたします。